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新卒で金融関係のブラック企業に入社した話 その3

前回までのあらすじ
大学四年生の小関は就職活動に失敗し、商品取引を扱う企業に内定が決まった。
入社後、河口湖での新人研修を経て、同期たちとの親睦を深めた。


↓詳しくはコチラ
新卒で金融関係のブラック企業に入社した話 その1~2
http://damoin667.blog.fc2.com/blog-category-39.html


***


新人研修を終えた私たちは、大阪・堺筋本町にあるオフィスビルの一角に戻ってきた。
すぐに先輩社員たちが歓迎会を開いてくれた。
近くの居酒屋を貸し切って、全社員80名のほとんどが参加して宴会をしたのを覚えている。
若手の社員たちが、半裸になって宴会芸のようなものをさせられていた。


先輩社員たちは優しかった。
まあ、歓迎会で優しいのは当たり前といえば当たり前なのだが。
先輩社員といっても、そのほとんど・・・ほぼ全員が役職者だ。
若かった私が正確に年齢を見分けられていたのかは謎だが、A社の社員は部長・次長クラスでも30代、課長・係長クラスは20代、入社数年目の社員でも主任だか何だかと名乗っていた。
私の上司となる入社2年目の先輩には「副主任」という肩書きが付けられていた。


これは、残業代の支払いを免れるために役職を付けているのか。
それとも最近流行りの「やりがい搾取」なのか。

そもそも、人事部の初老のおじさん以外、どこを見渡しても若い社員しかいなかった。


大学生の頃、トイレ・風呂共同のボロアパート暮らしをしたことがあるのだが、隣の部屋の住人がよく私にPCを借りに来た。
隣に住んでいたのは20代前半のOLさんだった。
PCでタッチタイピングの練習をしたいのだという。
彼女は、そこそこ有名なブラック企業で働いていた。
入社からわずか半年で役職を与えられ、それと引き換えに月何十~何百時間をサービス残業として、会社に無償で献上していた。
いつも帰宅は終電だった。
業務内容を聞くと、(こう言えば叱られそうだが)PCで数字や文章を入力するという単純作業だった。
2020年の今、PC入力だけの仕事はほとんどなさそうだが、当時そのような求人は結構あったのだ。

彼女は、「入力速度を上げる」ことに血眼になっていた。
休みの日もタッチタイピングの練習だなんて、残業どころの話ではないかも知れない。
(そもそも人にPC借りてないで、まず自分で買えよと思わなくもなかったが・・・)
自分は会社から必要とされていると感じ、やる気になっているのか。
期待されているプレッシャーに耐えられないのか。
彼女は、自分が会社に使い捨てられているという認識はなかった。
何度か説得を試みたが、彼女に転職するという選択肢はないようだった。
人はこんなに簡単に洗脳されてしまうのか・・・
私がアパートを出ていく頃には過労で体を悪くしていたが、すでに私の言葉は届かなかった。


こんな住人が身近にいたためか、私は「若い役職者が大勢いる」ことに良い印象を持たなかった。
「普通はそうだろ!」と方々から言われそうだが、同期のポジティブ女子2人はそうでもなかったのだ。
すぐに先輩たちを追い越してやる、とやる気を見せていた。
素直に自分の実力を信じられたのかも知れない。
それとも、新入社員の私たちが会社の士気を上げなければ!という使命感に駆られていたのだろうか。
もしくは、威勢のいい新人を演じることで、先輩たちを喜ばせたかったのかも知れない。
どちらにしろ、ヘタレの私には不可能なことだったので、彼女たちが眩しく見えた。


この時、胸の中の嫌悪感が少しずつ広がるのを感じていた。
最初から分かっていたはずの嫌悪感だ。

しかし、まだ見ないふりをした。

まだ分からない。
本当は、実力主義こそがあるべき姿なのかも知れない。
意外と、私はうまくやれるかも知れない。
だから今疑念を持つのはやめよう。



***



5月も半分を過ぎた頃、新入社員全員が、証券外務員試験に合格した。
私たちは正式に営業社員として働くことになった。

先ほども触れたが、入社2年目の女性社員・N副主任が私の直属の上司となった。

A社は、営業1課から4課まであり、やっていることはどの課も同じだった。
どこに配属されても金融商品買いませんか?とひたすら電話をかけるだけ。
総務部に所属の方や、経営者の方はお分かり頂けるだろうと思うが、たまに代表番号にかかってくる「何とか証券ですけど、代表者の方はいらっしゃいますか?」という不快なあの電話だ。
それをかける側の仕事をしていたのだ。

私は営業4課に配属になったが、広いフロアに仕切りはなかったため、窓際の1課のほうまで全て見渡せた。

皆が大声で営業電話をかける声がフロア中に響き渡る。
これだけでノイローゼになる人も出てきそうだ・・・

ポジティブ女子1人、暗め女子1人は私と同じ営業4課で、すぐ斜め前の席になった。
しかし、その2人も別の主任の下についたため、業務中は私と会話することもなくなった。
他の2人の女子は営業1課で、私たちとは席がだいぶ離れてしまった。


日々の業務で会話をするのは、ほぼN副主任だけだった。
N副主任は背が低く、ややぽっちゃりしていて、アンパンマンに出てくる「ジャムおじさん」に似ていた。
頬がいつもツルツル光っていたのを妙に覚えている。
どうやら新人だった昨年度、とても優秀な営業成績を残し、1年で副主任になったらしい。

N副主任の同期は誰ですか?と尋ねたところ、他に1人しかいないらしかった。
その年の採用がN副主任を含め2名なんてことはないだろう。
ほかの数十名はどうしたのです?なんて聞けるはずもない。
お察しするしかなかった。


用意されていた私のデスクの上には、電話以外何もなかった。
正確に言うと、「部長」以外の社員のデスクには、電話しか置いていなかった。
部長のデスクにしかPCがなかったのだ。

2000年代の話といっても、PCが珍しい時代ではない。
大学生であれば、大抵ノートパソコンを1人1台持っていた。
そうでなければ課題もできなければ論文も書けない。
スマートフォンなんてなかったので、学生に限って言えば今よりPC所持率は高かったかも知れない。
何となく、会社に入ればPCを1人1台貸与されるイメージを持っていたが、違ったようだ。

皆の机の上にPCはなかったが、灰皿は乗っていた。
すでに健康増進法改正だ何だと言われている時代に、オフィス内で煙草が吸い放題だという。
もちろんビルの共用部分は禁煙だ。
職場はいつも煙が充満していて、視界が白く濁っていた。
営業の部署はそんなものなのかも知れない。
実際に、男女問わずほとんどの社員が喫煙者だったのだ。

まず、煙で健康被害のある人は、ここでアウトか・・・


N副主任は、営業初日の私のデスクの上に「タウンページ」を置いた。
この中から無差別に選んで電話をかけろ、という意味だった。


続く



まだブラックな要素が出てきませんな・・・
え?少しずつ漏れ出てる?


さて、ここで何か写真を載せようとスマホの中を覗いてみたところ、ここ一週間は見事にゲーム画面しかありませんでした。
高校生の頃に戻ったみたいです。
ドラクエウォークっていうかキングスライム
ドラクエ・・・というか、同じものばかり撮ってない?

私はこのでっぷりしたものが気に入っているの・・・か?

いやもう、Chromeの検索履歴はスライムのぬいぐるみだらけやん。


小関の家がデブなスライムだらけになる日はそう遠くない。

~Fin~
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小関 文

結婚相談所勤務。
レディーススラッシュメタルバンドVALKYRIE(ヴァルキューレ)でGt/Voをしてます。

スラッシュメタル、パワーメタルが好きです。
・・・が、音楽なら何でも好きです。
実はメタルを聴き始めて日が浅いので「これは定番でしょ!」というバンドやアルバムを知らなかったりしますが、温かい目で見守りつつ教えてもらえると嬉しいです。

休日はバスケ観戦などしてます。
Bリーグ始まって以来、大阪エヴェッサを応援し、舞洲でのホームゲームに足を運んだりしてます。
エヴェッサ以外のチームも応援してます。

ツイッターー→@damoin667
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最近フォローバックが遅れ気味で申し訳ありません。

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