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新卒で金融関係のブラック企業に入社した話 その8

前回までのあらすじ
小関は新卒で「商品取引」を扱う企業・A社に入社した。
無作為に電話をかけていくという誰でもできる簡単な仕事だが、お客や上司に怒鳴られて心を病む毎日だった。
そのうち、社内にいるストレスから飛び込み営業に出ることが多くなった。


↓詳しくはコチラ
新卒で金融関係のブラック企業に入社した話 その1~6
http://damoin667.blog.fc2.com/blog-category-39.html


***


飛び込み営業は、会社の利益を考えると意味のない作業だった。
名刺をもらったところで、次につながらなければ意味がないことは新入社員の私にも分かった。
私は、次につながらない人から名刺をもらっているということも。
私はお年寄りばかりを狙っていた。
お年寄りをターゲットにすれば、2秒で断られるのではなく、少し話を聞いてくれる。
特殊詐欺の流行っている今なら分かるが、彼らもまた誰かと話したいのだろう。

私は、彼らの同情を引けば契約してもらえるのではないか、とさえ考えた。
しかし契約してしまったらどうなるか。
怖い兄ちゃんからの電話がかかってきて「元本が減っているから追加で資金を振り込め」と永遠に脅され、金を振り込まされるだろう。やめるなんて恐らく許されない。
老後の蓄えはどうなるのだろう?
商品取引(先物取引)で利益が出る人などほんの一部だ。
多くは「今借金をしてでも資金を出せば、すぐに取り返せる」という根拠のない思い込みに騙され、巨額の借金を抱えて破産するのだという。

あの時、私さえ来なかったら・・・後でそう思うのだろうか?
彼らは一生私を恨むのだろうか?


***


ある日、私はいつものように
新規取り、いってきます!
と出入口で大声で宣誓し(外回りに行くときのルール)、会社を出た。
なお、私は「新規取り行ってきます」の11文字すらきちんと言えず、何度も噛んだので、よく先輩たちに笑われた。
その頃は自己評価は低く、自分は「ダメ人間」カテゴリに入っていたので、人に笑われるのはとても屈辱だった。
自分は「ダメ人間」という自覚があり、かつそれを気にしていた。
だから、皆の前でそれを暴露するような事態には、心がついていかなかった。
多分、少しでも完璧でいたかったのだ。
なぜそんな風に考えていたのか今では分からない。
今なら、「ダメな奴」と指さして笑われても全て受け容れられるだろう。
他人の駄目なところも全て魅力であると思えるようになったからかも知れない。


そして、大阪市のとある商店街の、おそらく古い薬屋さんに入った時だったと思う。
いつものように「こんにちはー!A社の小関ですー」などと言いながらズケズケと店舗に入っていった。
慣れれば全く躊躇もしなくなるものだ。
最初は、もしかしたら怒鳴られるかも知れないという怖さもあった。
だが、商店街の小さい薬屋さんだから、恐らく高齢の店主がいるだろうという思い込みがあったのかも知れない。
しかし出てきたのは20代くらいの白衣の若い男性だった。

私を見るなり
今すぐ出ていけ。殺すぞ。
と低い声で言った。
見たこともないような殺気立った顔をしていた。
目が据わっている、という表現が近いだろうか。
眼球は若干飛び出して充血しているようにも見えた。
私は、最初何が起こったのか分からなかった。

まだ、自分の会社名と名前しか名乗っていない。
別に何も相手の気分を逆撫でするようなことは言っていない・・・
相手が怒るなんておかしい。

なので、何かの勘違いだと思った。
自分に言われたのではない、人違いだ、と思った。
「え~と、こんにちは。私はA社の者で・・・」
もう一度、出てきたお兄さんに向かって話しかけようと試みたが、
うるさい。
本当に殺すぞ!

と本当に人を殺しかねない目をして、近付いてきた。
眼球がやや飛び出した目は、全然笑っていなかった。
映画に出てくる殺人者は、こんな顔をしているなと思った。
私は思わず後ずさりをしたが、彼はこちらに向かってきた。
無表情のまま「殺してやる」と近づいてくる。


私は、本気で恐ろしくなって、走って逃げた。


その後、公園に着くまでのことをよく覚えていないが、全力で逃げたのだと思う。
その時は「本当に殺される・・・!」と思ったのだ。
怖くて涙がたくさん出ていた。
今までの人生で、あんなに近距離で、大人の男性に脅される経験がなかったのだ。
(最初の結婚相手から「死ね」だの「殺す」だの言われ家を追い出された小説を以前に書きましたが、このだいぶ後の話です。よく考えたら私は死ね死ね言われまくっている人生だな・・・)

とにかく、その時は「怖い」以外の感想がなかった。
手足が震えていたし、しばらく何もできなかった。
周りの人は、5キロの営業カバンを抱えて、泣きながら全速力で走る20代女子をどう思っただろう。
しかし、周りのことなど全く気にならず、ただ自分が生きているという事を確かめるだけであった。


その日は、もう何もせず会社に戻った。
何も成果がなかったことでN副主任にも怒鳴られたが、小太りで小柄な女性に怒鳴られたところで、私には何のダメージもなかった。
別にこの人は、私をどうこうできるわけじゃない。
本当に「怖い」ってこういう事じゃない。

その日の夜、本当に退職することを考え始めた。
どうしてすぐに退職に踏み切れなかったのか?
それは、「新卒で入った会社を数か月で辞めるとか、次に就職できるだろうか?」が1つめの理由。
「実家に帰ったら、親に何と説明すればいい?」が2つめの理由。
だいたい、新卒で入った会社を辞められない理由はそんなものだろう。
みんなそんな事を考えながら、ひどい仕打ちにも耐えているのだ。

しかし今日、初めて命の危機を感じ、考えが変わった。
何でそんなに小さい事にこだわっていたんだ?

本当にどうでもいい。
もう、やめよう・・・
実家に帰って、トイレの清掃員でも何でもしてたほうがマシだ。
会社を辞めよう。


続く


今日は、ウチにエクスプローラーが来ました!
IMG_20200719_142210.jpg
本編と違って今日の私はテンションが高い!

何も近況報告がないので、メガモンスター発生直前の、雲の下。
Screenshot_20200719_180429.jpg

ではでは( ˘ω˘ )
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コメント

棟梁 (男性)

商品先物取引会社
はじめまして!
自分は7年勤務していました。
アポ取れないなら飛び込み、はどこの会社でも同じなのでしょうね。
すぐに辞めれば良かったのですが、ずるずると続けてしまって...。
当時の事を思えば、大抵の仕事は楽に感じられるので、良い経験をしたと無理やり思っています(笑)

小関 文

Re: 商品先物取引会社
棟梁さんこんにちは。
7年も勤務されたのですか!?
精神的にお強い(?)のですね(私は半年持たずに離脱していますが)
私も、どんな仕事をしていても幸せだと思えるので、まあ良かったかなと(´▿` )その辺は一致していますね(笑)
もしかして同じ会社だったらどうしようと思ったりしますが(´゚д゚`)
それにしても今は商品取引の仲介をしている会社をほとんど見かけないので、やはり時代は終わったのですね・・・
非公開コメント

小関 文

結婚相談所勤務。
レディーススラッシュメタルバンドVALKYRIE(ヴァルキューレ)でGt/Voをしてます。

スラッシュメタル、パワーメタルが好きです。
・・・が、音楽なら何でも好きです。
実はメタルを聴き始めて日が浅いので「これは定番でしょ!」というバンドやアルバムを知らなかったりしますが、温かい目で見守りつつ教えてもらえると嬉しいです。

休日はバスケ観戦などしてます。
Bリーグ始まって以来、大阪エヴェッサを応援し、舞洲でのホームゲームに足を運んだりしてます。
エヴェッサ以外のチームも応援してます。

ツイッターー→@damoin667
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最近フォローバックが遅れ気味で申し訳ありません。

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